東京海上ホールディングス株式会社(社長 隅 修三)(以下「当社」)は、当社子会社である東京海上日動火災保険株式会社(以下「東京海上日動」)を通じ、米国の損害保険グループ「フィラデルフィア・コンソリデイティッド社(持株会社Philadelphia Consolidated Holding Corp.および傘下の損害保険会社等。以下「フィラデルフィア社」)」を買収(以下「本件買収」)する手続きを開始することについて、本日、同社と合意致しました。
本件買収は、友好的なものであり、Philadelphia Consolidated Holding Corp.の取締役会は本件買収につき、全会一致で賛同しております。
1.本件買収の背景・東京海上グループは、世界トップクラスの保険グループを目指し、海外保険事業の規模・収益の拡大を中長期の成長戦略の牽引役と位置づけ、自力成長に加えM&Aによる取り組みを強化しております。こうした戦略の下、従来からのアジア、ブラジル等の新興市場における買収に加え、本年3月、英国ロイズ「キルン社」買収を通じロイズ市場に参入すると共に、次の重要課題として世界最大の保険市場である米国市場での本格展開を検討してまいりました。
・フィラデルフィア社は、下記2及び別紙のとおり、米国損害保険業界の中でも屈指の優良保険会社で、経験豊富で実績のある経営陣を通じ、1962年の創業以来一貫して高成長・高収益を実現しています。
・当社は、本件買収を通じ、先般実施した英国ロイズ「キルン社」買収と合わせ、米国・ロンドン両主要損害保険市場に布石を打ち、海外保険事業の収益の飛躍的拡大を実現すると共に、将来の東京海上グループの持続的成長を可能とする強固な事業基盤が確立できたものと考えております。
2.フィラデルフィア社の概要(詳細は別紙1のとおり)・社名:Philadelphia Consolidated Holding Corp.(本社:米国ペンシルバニア州フィラデルフィア市郊外バラキンウィッド。NASDAQ上場)。同社は持株会社で、傘下に損害保険会社等を保有する保険グループです。
・特徴:フィラデルフィア社は、卓越した商品開発力(特定の業種や顧客セグメントにフォーカスした専門商品等)、規律あるオペレーション、多様な販売チャネルを活用した強固なマーケティング力に示される競争優位性の高いビジネスモデルにより、米国損害保険業界の中でも一貫して圧倒的な高成長・高収益を実現しています。
3.本件買収の概要・買収対象:Philadelphia Consolidated Holding Corp.(東京海上日動を通じて同社を完全子会社化します)。
・買収金額:4,705百万米ドル(約4,987億円)(1株当り$61.50(約6,519円))(*1,2)。本買収価格は、フィラデルフィア社の7月22日までの過去1ヵ年の平均株価に対し66.5%、07年1ヵ年の平均株価に対し46.8%のプレミアムを加えた金額となります。当社は、フィラデルフィア社の資産内容、事業内容等について、慎重に分析および検討を重ねた上、この買収価格が公正かつ妥当なものであると判断いたしました。
(*1)本資料では、米ドル・日本円の為替レートを、特に注記のない限り、便宜上1米ドルあたり106円で換算しております。
(*2)本買収金額には、経営陣・幹部社員等にこれまで付与されてきたストックオプション等の株式連動報酬の現金化部分408百万ドル(432億円)を含みます。・買収資金:本件買収のための資金は、東京海上グループ内の手元資金および社債発行等の外部借り入れにより調達する予定です。
4.本件買収の戦略的目的(1) 世界最大の米国保険市場での本格展開
・米国損害保険市場は、市場規模50兆円を擁する世界最大のマーケットですが、現在の米国経済には、サブプライム以降、減速感が見えています。しかしながら、当社としては、中長期的には成長の持続が期待できる重要な市場と判断しました。
・当社は、米国市場において、従来より東京海上日動・米国支店等を通じ、日系企業物件中心に事業展開を図ってきましたが、今般、フィラデルフィア社を東京海上グループの一員とすることにより、非日系の企業保険分野での事業基盤を飛躍的に強化し、米国保険市場での本格展開を実現します。
(2) 海外保険事業の規模・収益の拡大
・フィラデルフィア社を買収することにより、東京海上グループの海外保険事業は、規模・収益とも飛躍的に拡大します。参考までに、2008年度予想に基づく影響額を試算(両社の2008年度の業績見込み(*3)を単純合算したベース(*4))いたしますと、下表の通り、規模(正味収入保険料)では約35%、収益(修正利益)(*5)では約95%、それぞれ増加する見込みです。
(*3)東京海上グループの業績には、08年度より当社業績に反映するキルン社の損益も含まれます。
(*4)フィラデルフィア社買収による正味収入保険料および修正利益の増加額等は、2008年度予想に基づく試算値であり、同社の損益は実際には2009年度から東京海上グループの業績に反映されます。なお、フィラデルフィア社の正味収入保険料・修正利益は同社予測値に基づいています。
(*5)修正利益:損保事業に特有の各種準備金の影響を除くとともに、資産の売却・評価損益など、必ずしも損益の源泉が当期だけで無いものを控除することにより、当期の純粋な損益を明確にした当社独自の指標です。なお、のれんの償却は含みません。
<海外保険事業の2008年度予想に基づく影響額試算(両社の2008年度の業績見込みを単純合算したベース)> (単位:億円) | | 正味収保 | 修正利益 |
| 東京海上グループ海外保険事業合計(含むキルン社) | 5,473 | 317 |
| フィラデルフィア社 | 約1,950 | 約300 |
| 合計 | 約7,400 | 約620 |
(外貨・日本円の為替レートは、07年12月末現在のレートを使用しています。1米ドル:114.15円)
(3) グループ全体の収益の拡大とバランスのとれた事業ポートフォリオの実現
(詳細は別紙2のとおり)
・今般、フィラデルフィア社を買収することにより、東京海上グループの修正利益に占める海外保険事業の比率は、両社の2008年度の業績見込みを単純合算したベースで、21%から35%に上昇します。国内事業より高い成長性が見込める海外保険事業のウエイトの更なる上昇により、東京海上グループ全体として今後より一層の利益成長を目指します。
・また、本件買収により、海外保険事業の地域バランスが改善し、国際的な地域分散が更に効いたポートフォリオの構築を実現します。
5.両社の強みを生かした新事業展開の推進フィラデルフィア社の商品開発力、多様な販売チャネルを活用したマーケティング力などの強みと、東京海上グループの高格付け、強固な財務基盤、保険引受能力(キャパシティ)、海外ネットワーク等の強みを組み合わせることにより、米国での更なる事業拡大のほか、カナダ・中南米等米国外における新事業展開を進めるとともに、キルン社との相乗効果の具体化も推進していきます。具体的には、以下の施策を推進していきます。
(1)東京海上グループの高格付け・強固な財務基盤を活用した事業拡大
・東京海上グループの高い格付けと強固な財務基盤を活用し、フィラデルフィア社の米国事業の更なる拡大を図るほか、当社の資本力を活用して、優良ポートフォリオの拡大を促進して参ります。
・当社グループのキャパシティをふまえ、フィラデルフィア社の出再保険の効率化を実現する等により、収益拡大・ROE向上を図ります。
(2)東京海上グループのグローバル・ネットワークを活用した米国外への事業展開
・東京海上グループが有するグローバル・ネットワークを活用し、フィラデルフィア社の競争優位性のあるビジネスモデルの米国外のマーケット(カナダ・中南米等)への展開を図ります。
(3)キルン社との共同事業展開
・当社・フィラデルフィア社・キルン社の経営陣が参画する日米欧3極のInternational Strategic Committeeを設置し、海外保険事業の更なる収益拡大に向けた世界戦略を検討していきます。
・フィラデルフィア社とキルン社の間で、双方の専門商品のクロスセルを検討します。
6.買収手法および手続き・本件買収は、米国の企業再編法制に基づき、東京海上日動が米ペンシルバニア州に100%出資の特別目的会社「Tokio Marine Investment (Pennsylvania) Inc.」(仮称)(以下「TMIP」社)を新規設立し、フィラデルフィア社とTMIP社を合併させる手法で行います(*6)。同合併は、フィラデルフィア社およびTMIP社の株主総会において出席株主の議決権数の過半数の賛成により成立し、合併後の存続会社はフィラデルフィア社となります。この手続きを通じて東京海上日動は、フィラデルフィア社の既存株主への対価(本件の場合1株当り現金$61.50)を支払うことにより、フィラデルフィア社の100%株式を取得します。なお、本件買収については、日米監督当局、米競争法当局の承認が条件となります。
・スケジュールに関しては、今後速やかに手続きを進め、2008年第4四半期(10-12月期)中に完了する見込みです。
(*6) 米国の企業再編法制上Reverse Triangular Mergerと呼ばれる手続きで、我が国における三角合併に類似した手法です。米国における特に友好的買収の際に一般的に用いられている手法です。7.業績への貢献・フィラデルフィア社の損益は、2009年度より東京海上グループの業績に反映します。
以 上
将来の見通しに関する記述に係る注意事項本プレスリリースには「将来の見通しに関する記述」が含まれている場合があります。実際の結果は、見通しに関する記述中の予測または見込と大きく異なる可能性があります。実際の結果が大きく異なる要因には、フィラデルフィア社が米国証券取引委員会(SEC)に提出した書類に記載された事項に加え、以下の事柄を含みます。本件公表後の事業費、顧客喪失および業務の混乱(従業員、顧客または仕入先との関係維持が困難になることを含みますが、これに限定されません。)が予想以上となる可能性があること、フィラデルフィア社の主要な従業員の雇用継続可否、本件実行の前提条件が満たされない可能性があることまたは本件に要する規制当局の認可が想定の条件でもしくは時期に取得できない可能性があること、本件の当事者が合併に係る時期、実行ならびに会計および税金処理について想定どおりとならない可能性があること。法律上別段の定めがある場合を除き、当社は、本プレスリリース中の情報を更新する義務を負いません。これらの将来の見通しに関する記述は本日現在のものであり、これらに過度に依拠することがないようお願いいたします。
追加情報およびその取得場所本書は、企図される当社によるフィラデルフィア社の買収に係る勧誘文書と見做される可能性があります。当該企図される買収に関連して、フィラデルフィア社は、Schedule 14Aを用いた同社の委任状を含む関係書類をSECに提出する予定です。
SECに提出されるフィラデルフィア社の委任状を含む関係書類には企図される取引に関する重要な情報が含まれることから、同社の株主におかれましては、これらの書類をすべてお読みになるようお願いいたします。投資家および証券保有者におかれましては、これらの書類をSECのウェブサイト(http://www.sec.gov)にて、無償で入手することができます。また、フィラデルフィア社の株主に対しては、取引関連書類を同社より無償で取得する方法に関する情報がしかるべき時期に提供されます。現時点において当該書類は入手不能です。
勧誘への参加者当社ならびにフィラデルフィア社ならびに同社の取締役および執行役員は、企図される取引に関し、フィラデルフィア社の普通株主に対する委任状勧誘への参加者と見做される可能性があります。フィラデルフィア社の取締役および執行役員に関する情報は、2008年4月15日付でSECに提出された同社の2008年定時株主総会の委任状に記載のとおりです。当該参加者の利害関係に関する追加情報は、本件に関する委任状が提供された後にこれを参照することにより入手可能です。
別紙1
フィラデルフィア社概要
1. 創 業: 1962年James J. Maguire氏(現会長)が創業
2. 本社所在地:米国ペンシルバニア州フィラデルフィア市郊外バラキンウィッド(Bala Cynwyd)
3. グループ体制
・持株会社Philadelphia Consolidated Holding Corp.(NASDAQ 上場。コード「PHLY」)が、100%子会社として損保会社Philadelphia Indemnity Insurance Company、Philadelphia Insurance Companyなどを保有。
4. 業績動向
(1)最近事業年度の動向
(単位:百万米ドル)
| | 2006 | 2007 |
| 総収入保険料 | 1,493 | 1,692 |
| 正味収入保険料 | 1,283 | 1,460 |
| 税引後利益 | 289 | 327 |
| 総資産 | 3,439 | 4,100 |
| 純資産 | 1,167 | 1,547 |
| 合算比率(%) | 68.3 | 74.3 |
| ROE(%) | 29.1 | 24.1 |
(2)過去10年間の成長性・収益性の推移
①成長性:過去10年間の正味収入保険料の年平均増収率は29.3%(全米損保業界平均は4.7%)
正味収入保険料増収率 (単位:%)
| 年 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | CAGR |
| フィラデルフィア社 | 27.9 | 28.7 | 43.1 | 28.0 | 54.1 | 15.9 | 51.8 | 21.5 | 15.5 | 13.8 | 29.3 |
| 損保業界平均 | 1.2 | 1.9 | 5.0 | 8.4 | 15.3 | 10.0 | 3.9 | 0.5 | 2.7 | -1.2 | 4.7 |
| 差 | 26.7 | 26.8 | 38.1 | 19.6 | 38.8 | 5.9 | 47.9 | 21.0 | 12.7 | 15.0 | 24.6 |
②収益性:過去10年間の平均合算比率(*7) は85.1%(全米業界平均は103.5%)。下表のとおり一貫して全米損保中トップクラスの数値を実現している。
合算比率(保険監督会計ベース) (単位:%)
| 年 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 平均 |
| フィラデルフィア社 | 85.1 | 93.3 | 89.1 | 91.9 | 91.5 | 90.3 | 88.7 | 78.1 | 68.3 | 74.3 | 85.1 |
| 損保業界平均 | 105.9 | 108.0 | 110.1 | 115.8 | 107.5 | 100.1 | 98.4 | 100.8 | 92.5 | 95.6 | 103.5 |
| 差 | -20.8 | -14.7 | -21.0 | -23.9 | -16.0 | -9.8 | -9.7 | -22.7 | -24.2 | -21.3 | -18.4 |
(*7)保険料を分母、支払保険金+経費を分子としてパーセンテージ表示される損保会社の収益指標。100%は収支均衡を示し、100%を下回るほど保険引受面での収益性が高いことを示す。
(3) 株式のパフォーマンス:過去10年のリターン(Total Shareholder's Return)は年平均18%と全米主要上場損保(38グループ)中トップ。
5. 決算期:12月
6. 格付け:ムーディーズ:A1 、A.M. Best:A+(Superior)
7. 経営陣:会長 James J. Maguire 、CEO James J. Maguire, Jr.
8. 従業員:約1,400名
9. 支店網:全米に47拠点を展開。
別紙2
<2008年度予想に基づく本件買収の影響額の試算(*8)>
1.東京海上グループの修正利益の内訳
| | フィラデルフィア社買収前(*9) | フィラデルフィア社買収後(*10) |
| 国内損保事業 | 52% | 43% |
| 国内生保事業 | 26% | 21% |
| 海外保険事業 | 21% | 35% |
| 金融・一般事業 | 1% | 1% |
2.東京海上グループ海外保険事業の正味収入保険料の地域別割合
| | フィラデルフィア社買収前(*9) | フィラデルフィア社買収後(*10) |
| 北中米 | 12% | 35% |
| 南米 | 32% | 24% |
| アジア・オセアニア | 24% | 18% |
| 欧州・中東 | 19% | 14% |
| 再保険 | 13% | 9% |
(*8) 東京海上グループ及びフィラデルフィア社の予測値を単純合算したベース。
(*9) 東京海上グループの業績には、2008年度より当社連結損益に反映するキルン社の損益も含まれます。
外貨・日本円の為替レートは、2007年12月末のレートを使用しています(1米ドル:¥114.15)。
(*10) フィラデルフィア社買収による正味収入保険料および修正利益の増加額等は、2008年度予想に基づく試算値であり、同社の損益は実際には2009年度から東京海上グループの業績に反映されます。なお、フィラデルフィア社の正味収入保険料・修正利益は同社予測値に基づいています。